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福岡市民会館で提示された方向性

by Love in Qushu

率直に言うと、NHKホールにいる感覚だった。

5月5日の福岡市民会館でのライブ。6周年ライブでもあるけれど、基本的には再開発という一連のプロジェクトの中でのイベントと位置づけられていた。まあライブはそういうことは考えずに楽しむものだけれど、ただ、冒頭の映像からそういう演出がされていて(個人的にはQのマークがぶっ壊れたのはあまり気分のいいものじゃあなかったけど)、そこを改めて提示された気がした。

だからというか、「ああ、LinQをこういう風にしたいのね」というのがはっきりと示されていたライブだったと思う。今、このプロジェクトを主導している人の考えははっきりと示されていた。

じゃあその示されたものに対してファンはどういう反応をするのか。「これまでとは違うことをしますよ」と言っているものに対してどう受け止め、どう受け入れるのか。または受け入れないのか。そしてそれに対してどう答えるのか、応えるのか、または答えず応えずなのか。

はっきりと示されていたと個人的に思ったのは、ああ、老若男女に楽しまれるLinQにしたいんだな、ということ。この日の福岡市民会館は心なしか親子連れが多かった。それは、何も新しく来たファン、だけではなかったのかもしれない。福岡市民会館だから来た、という側面もあったのかもしれない。

というのは、Zepp Fukuokaは着席にしても傾斜がないので座ったまま見ることはできない───ファンは立つので───し、ましてや子供は立っても見えないだろう。ところが福岡市民会館は傾斜があるので、たぶんだけれど大人が座ったままでも頭の向きによってはステージが見えるだろうし(過去似たようなホールで経験があるので)、子供も見やすかったはずだ。

元々老若男女誰でも楽しめるグループ、ではあったけれど、普段のベストホールは別として、なかなかそこに応えられる場所を用意できなかったと思う。その点では福岡市民会館はとてもいい会場だったと思う。その会場の構造がNHKホールを彷彿とさせた、というのがまず一つ。

もう一つ。それは、どこかNHKの番組を見ている感覚だったというか。「NHKふれあい歌謡ショー」みたいな(そんな番組があるのかどうかは知らない)。それもつまり、老若男女が楽しめる、ということだ。
レーベルが変わってから出した曲は、「妖怪ウォッチ」がらみで子供向けの曲が多かったりとか、「負けないぞ」もそうだけれど、より幅広い人たちに向けられた曲ばかりだと思う。さっき「親子連れが多かった」と書いたけれど、それは「妖怪ウォッチ」でつかんだ新規のファンだったのかもしれない。しかもジバニャンまで出てきたし。しかもLinQキッズまでステージに出てきたから、よりNHKらしかったというか。

ただ。個人的にちょっとびっくりしたのは「青春グラフティ」の演出だった。CDで聞くだけではあまりイメージのできなかった曲だけれど、この日のステージを見て、ああ、こういう世界観だったのね、なるほどね、と。あれなんかまさにNHKっぽかったと思う。衣装も普段とは違うメンバーのよさが出ていたと思うし。

なので、「ああ、こういうLinQにしたいのね」というのは伝わってきた。

個人的には、
ダンスオーディションをやって披露されたあの曲は、まあ…という感じだった(「Perfumeの掟」みたいなものだったら卒倒したんだけれどまあそれはないか 笑)。ただ、だからこそ、普段では気づかないというかなかなか表に出ないメンバーの個性を「引き出した」曲だったと思う。

個人的に今回のライブで一番びっくりしたのがまなみんで。正直に言えばあまり注目していなかったメンバーだったわけです。ただ、去年生誕公演を見て、独特の感性というかアーティスト脳、みたいなものを持っているメンバーだなとは思って。ある公演で見た「シアワセのエナジー」の、最後の腕を上げるシーンのその上げ方が、膝を曲げてから一気に体を伸ばす、ドーンみたいな感じで、それがツボだったことがあって。「この曲はこういう曲」という自分なりの世界観を表現する子なんだなとは思っていたけれど、今までのLinQだとそれがあまり出す機会がなかった気はするし、もしかしたら出そうと思っていなかったのかもしれない(あまり見ていないからそう思っているだけかもしれません)。

もちろんソロシンガーとしてそういうのを出す場はあったけれど、ダンスパフォーマンスではあまりそれはやっていなかった気がする。

それが今回思いっきり引き出された気がする。いや、自分で引き出したのかもしれないけれど、でも、ものすごくたくましくなっていた気がした。

この「たくましく」というのは今回久しぶり(約3ヶ月)にLinQを見て全体的に感じたことで。筋肉質のLinQになったというか。

たくましさという点では伊藤ちゃんも本当に目を見張って。伊藤ちゃんはプロレスをやっているから体も相当鍛えているんだろうけれど、だからといって筋肉質、みたいな体つきというよりは、むしろしなやかさが伝わってきて。「力強さでパワー全開」、とかではなくて。力をつけたことで逆に力の出し方がわかったというか、常に全力全力じゃないようにしていたというか。

でも逆に「しなやかさという力」が身についたのかなとも。プロレスやってないからわからないけれど、いかに技をかわすか、とか、受け身みたいに衝撃を低減させる、というのもトレーニングを積んでいるはずだし。

あと、変わったなあと思ったのがさくらちゃんで。言葉を発するようになったというか、自分の思いを言葉にして伝えようとしているというか。今までだったら「言わないでおこう」だったり「言葉にして周りを傷つけたりしたらどうしよう」とか思ってしまっていた言葉を、しまわずに出すようになったというか。「恐れなくなった」と思った。

後から入ったメンバーだし、とか引け目に思っていたことを、だからこそ伝えられることがあると思ったというか。今こそ自分の言葉が大事と思ったというか。それは前に「出番」というブログでも書いたけれど、よりその気持ちが全面に出ていた気がした(自分事で恐縮だけれど私だって最近全然LinQ見てないし、北海道だし、何も語れないと思っていたけれど、そういう状況だからこそ見えるものもあるなと思って。距離が逆に武器になるというか)。

あと、これは再開発とはちょっと関係ないけれど、なっちゃんが負傷したことでライブも大幅に変更になったんだろうけれど、でも、「チャイムが終われば」は座ったままでも参加できる曲だったり、「SUMMER DAYS」の冒頭で原さんが勢い付けて元気よく車いすを押して出てきたり(原さんは本当にすごいと思った)、負傷したことは本当に残念だけれど、でも、だからこそできることをちゃんとやったというか。
LinQは老若男女誰でも楽しめる、と書いたけれど、ケガをしている人にもちゃんと輝ける場がある、というのはLinQの奥深さというか許容範囲の広さを改めて感じさせたと思った。

ただ。
「こういうLinQです」というのはわかったけれど、じゃあ果たしてそれはどうなのか。まあそれについてはよくわかりません。自己満足で終わって欲しくはないとは思うけれど。ただ、福岡色、九州色をなくしたらLinQの意味ははっきり言ってないと思うわけです。じゃあそれはどうやって残せるのか。もちろんメンバーが九州出身だということで一応は九州色にはなるけれど、それだけじゃ足りないと思う。

そこで大事になってくるのは、九州のスタッフがどれだけ表現部分で関われるか、ということだと思う(バイコージャクソンさんもそのようなことをブログで書いていたけれど)。もちろん曲はメンバーのものなので、メンバーがどう表現するかで曲の雰囲気は全然変わってくるけれど、極端に言えば「ふるさとジャポンをセクシーに踊る」なんて無理なわけで。

なのでその点でものすごく正直に言うと「ONE FOR ALL FOR ONE」という新曲がこの公演に入ったことは、ある意味生命線なのかなと。わずかだけれどその余地はあるということなのではないだろうか。

今回の公演で「I am LinQ」というコピーがついていたけれど、それは何もメンバーに限らず、LinQに関わる人たち全員(もちろんファンも)が、改めて「LinQって何だろう」と見つめ直したきっかけにはなっていると思った。「We are LinQ」じゃないところがポイントだなと。まず一人一人が成長しようと。みんなの喜びが私の喜び、とかじゃなくて、まず私が、と。まず私が頑張ろうと。LinQはその集合体になろう、と。

そういう点では、「このご飯美味しい」だったのが「このご飯、米粒一粒一粒が際立って美味しい」になっていたというか。

そうなったのは再開発プロジェクトの一つの意義であり成果だったのかなと思う。

ここに関わるみんなが幸せになって欲しい。都市なんかもそうだけれど、再開発というのは基本、みんなを幸せにするためのもの、なのです。


Love in Qushu
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