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大庭彩歌の仕事

by Love in Qushu
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仕事のやり方って基本的に二つに分かれると思う。

①「この人はこの人に」と、人に任せるところは任せる人
②自分でできることは、自分でやってしまう人

調整型か率先型か。どちらがいい、悪いはない。人に任せるのも大事だ。自分でやってしまうのも大事だ。

大庭ちゃんは間違いなく②だと、この日の生誕公演を見て思った。

たぶんこの人は、「こういうステージを作りたい」と思ったら、まずそれを描き、そしてそこから実現方法を考えるんだけれど、そこで「ここはこういう風にしちゃえ」と自分で明確に描ける人だと思う。自分の頭の中で思い描いたものを自分で形にできる人だと思う。

もちろん、自分が思い描いたものを全て一人で実現できること、はなかなかないのだけれど、ただ、他の人に頼むとどうしてもそこは伝え方だったりで、自分の思い描くものが完全にそのまんまになることは難しい(逆に予期せぬものができてそれはそれでよかったりもするのだが)。自分の頭に描いたものは自分が形にするのが一番なのだ。
※ただ、LinQについていえば原さん生誕での「Supreme」の「四つ打ちカモン」のあのSHiNTAさんの作品といい、そのイメージが共有されやすい環境ではある。あくまでも福岡の制作陣の場合は。

ただ、それを実際に形にできる人は限られる。そしてまた、その形が人を満足させられるものか、自己満足に陥らないようにできるか、というところまで考えて形にできる人は限られる。

大庭ちゃんはその限られた一人だと思う。
5/13にベストホールで行われた大庭ちゃんの生誕公演で何よりびっくりしたのが、いろんな曲がリミックスになっていたこと。特に「ウェッサイ!!ガッサイ!!」は、間奏が長くなってそこでパフォーマンスをする時間に充てていた。これ、普段だったらSHiNTAさんが作ったと誰しもが思う。「ああ、生誕向けに特別に用意してくれたんだな」と。ところがこれ、大庭ちゃんの「作品」だった。「ここをこういう風にしたい」というのを思い描ける人はたくさんいても、実際にそれを自らの手で作り上げて形にできる人はなかなかいない。

たぶんだけれど、あの「ウェッサイ!!ガッサイ!!」の間奏は、「この曲をこういう風にしたい」というのが頭にあって「じゃあそのためにはここでダンスパフォーマンスを入れよう」となって「じゃあそのために間奏を長く取ろう」となり「それにあった曲調はこんな感じ」というところまで落とし込んだんだと思う。
※そして当然ながら「そのときの照明はこう」というところまで考えたのだと思う。

それは私にとっては、最近放送された「情熱大陸」でのMIKIKO先生の姿に重なった。Perfumeの振り付け師としておなじみのMIKIKO先生は、振り付けだけでなくライブの演出も考える人だ。ここはこんな風な幕を作りたい、メンバーはステージのこの位置に立たせることでこんな演出を…等々。

私は詳しくは知らないのだけれど、ファンの方から聞いた話では、大庭ちゃんはNKDという大学のアイドルグループをプロデュースしていたという。だから元々プロデュースすることには長けている人だと思う。しかも、自分自身もLinQのメンバーなのだから、メンバー視点でプロデュースができる。メンバーだからメンバーの個性もより間近でつかみ取れるわけで。
※その点では「この子はこういう子だから、こういう衣装が似合う」とデザインし、かつ自分で作れてしまう、元メンバーの舞川あやさんと同じだ。

そのNKDの曲「君のとなりで」が今回の生誕で披露されたけれど(最初は何の曲か全く分からず後で教えてもらった)、そのダンスが…

我々は当然だけれどLinQの曲を歌うLinQのメンバーしか知らない。たまに対バンとかで相手の曲をカバーしたり、生誕とかで違うグループの曲をカバーすることはあるけれど、それは本当にまれ。LinQとはまた違う曲で踊るメンバーというのは、メンバーのまた違った一面を見せてくれるものなのだけれど、

このダンスでのメンバーがなんか本当によくて…

振り付けって、「この子たちならこういう振りが似合う」とか「こういう振りがよりメンバーの個性を光らせる」とか「こういう振りならカッコよく見える」とか、つまりはお客さんを満足させ、楽しませ、魅了させるためのツールの一つなのだが(曲もそうだし、照明や音響といった演出もそう)、つまりそれはその人たちのことがよく見えてから初めて成立する部分がある。

いや、別に知らなくてもいいのだけれど、知ればより「打ち出したいポイント」というのが増えてくる。
最近はLinQの曲の振り付けの人が変わっているけれど、当然その人はLinQメンバーを詳しくは知らない。身近にもいないし。東京にいる人が東京にいながらにして福岡の観光情報を書くようなものだ。いや、書けるんだけれど、やっぱり地元の空気を感じて書いているのかどうかで差は出てくる(ただ、せめて出張して書くかどうかだけでも変わってはくるのだが…)。「どんたくは今年もこんなに賑わいました」と、ネットの情報だけ見て書くのと、実際に足を運んで見て書く、その違いだ(とはいえ文章は同じになってしまう可能性もあるのだが)。
※少し話はそれるけれど最近北九州を紹介するサイトが「北九州は今や九州の中で福岡に次ぐ都市になりました。」などと書いていて北九州をまるでわかっていない人が書いていることが明らかになったことがある。

「この子たちはこんな感じだろうからこういう振り付け」なのか「まだよくわからないからもっとこの子たちのことを知ろう」なのか、それとも「(一般的に)アイドルグループにはこういう振り付け」でとどまっているのか。もしそうなのだとしたらそれは別にLinQメンバーである必要はない。

話がそれたけれど、この日の「君のとなりで」は、ああ、もっとこういうLinQが見たいな、と思わせる作品だった。そしてそれは間違いなく大庭彩歌の作品だった(27:00付近からご覧下さい)。

先週行われた福岡市民会館の公演は、再開発プロジェクトとしての作品だった。簡単に言えば上の大人たちが多く関わって共に作り上げた作品だった。メンバーあっての作品だったけれど、メンバーの関与度はどう考えても低かった。今回は間違いなく大庭彩歌というメンバーによる作品だった。簡単に言えばトップダウンとボトムアップの違いだった。福岡市民会館とは対をなす、貴重な公演だった。


大庭ちゃんはオーロラ色の衣装が好きでこの日もオーロラ色があしらわれたスカートをはいていたけれど、
オーロラって、さまざまな自然現象が積み重なって生まれるもの。いつどこで出現するか分からない、偶然の産物だ。偶然の産物だから美しい。ただ、間違いなく言えるのは、太陽によって引き起こされる現象だということ。

大庭ちゃんの生誕もまさに、メンバー、音楽、ダンス、演出、そしてファン…さまざまな要素が積み重なって生まれた、オーロラのような公演だった。そしてそれは、大庭彩歌という太陽によって引き起こされた公演だった。

あ。そうそう。
私もけっこう自分でやってしまう性格なので、大庭ちゃんに触発されてDTMに挑戦しようと思った。
「ないんだったら自分で作ればよかっちゃろ?」

たぶんそれが大庭ちゃんの気風なのだと思う。


Love in Qushu
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