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高木悠未の背中

by Love in Qushu
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アイドルグループにおけるセンターと言えば、何だろう?

中心にいるメンバーでもあり、かつ(フォーメーション的に)一番前にいるメンバー、でもある。逆三角形▽の頂点にいるのがセンター。客席から見た場合は。

一方メンバーから見た場合は、一番多くのメンバーに背中を見せているメンバー、になる。逆に言えば、センターが他のメンバーの背中を見る機会は少ない。

センターはファンと相対することでパフォーマンスと言葉でファンを惹きつける一方(人は自然と真ん中にいる人に目が行く)、その背中でメンバーを引っ張る存在、なのだろう。


5/14にベストホールで行われたLinQのセンター・高木悠未の生誕公演は、彼女の背中が見える公演、だった。

冒頭、そしてMCとほんわかした雰囲気(いつもの彼女の生誕ぽいというか)で始まりつつ、「GARNET」で空気を一変させ(申し訳ないんだけれどこの曲は私にとっては高木悠未曲。しかもなおさら「子供から大人へ」みたいな少女のストーリーを感じさせる曲なので、二十歳になった彼女にはこの日はよりぴったりな曲だったと思う)、

※このPVは今にして思えば本当にいいPVだし、「第二のGARNET」がいつか生まれないものだろうか…と思う。えっ、まさか「Funky!LinQ」が?いやいやいやいや。
いやいやいやいや。(原さん風に)

さらにそこでLady曲…。元々彼女のダンスなり表情は大人びた雰囲気もあったのだけれど、で、たぶん今まで見たものとそれほど変わっていないのだろうけれど、「二十歳になった高木悠未」というフィルターで見るとより大人びて見えたというか…

二十歳になったという事実がより彼女に箔というか説得力をつけたというか…

二十歳になったという事実であり現実をより突きつけられたというか…

しかも「LaLaLa」をLadyバージョンで歌ったこと(一番好きな曲はLadyバージョンのこの曲なのだと何かで聞いたことがある)でなおさらそれを突きつけられた気がした。もっともその次が「Chocolate Kiss」だったのはどこかホッとした(笑)んだけれど。


この日の宮殿風のセット(照明のシャンデリアもそうだったけれど、ステージ左右に設置された、白いシーツに下からライトを当てた、あの照明演出は本当に素晴らしかった)も相まって、二十歳という大人の入口に立った彼女にぴったりの公演(曲&演出)だったと思う。

しかも、元々曲中での演技が好きな彼女にとっては、たぶん一番演技のしやすいというか本領発揮?できるであろう、「White Drops」と「for you」(前者は二番の「窓の外を~」の部分、後者はBメロの入りでの振り向き方は、個人的に彼女の演技ぶりの真骨頂)をセトリに入れた気がする。女優を目指すという点でどうしてもこの曲は入れたかったというか。


ただ。
何よりLinQのセンターとしての背中が見えたのは、アンコールの後、だった。負傷しているなっちゃんが登場して、リーダーとセンター二人がステージの前に立ったわけだが、

個人的になっちゃんとのコンビというのは何か独特の絆があると思っている。過去こんな記事を書いたことがあるが、実はそのきっかけは2年前の生誕公演だった。

※5話まであります。

そして生誕公演後に公開された再開発動画で知ったのだが(話はそれるけれど5/15公開の動画はもう少し人道的な配慮ができないものかと思う)、ソロパートのメンバーだったなっちゃんが負傷したことでその代役を務めたのがゆうみんだった。しかも、なっちゃんの作ったダンスを取り入れて、いわば「天野なつの分身」として、なっちゃんが乗り移ったようにしようとしていた。

今にして思えば、生誕公演でなっちゃんが登場したのはあの御礼という気持ちもあったのかなとも思う。

そして最後の挨拶では、今のLinQというか再開発に対する思いを語っていた。公演後に推しの人と話していて気づいたのだが、よくよく考えればあのようなまじめなことをMCで言う、というのは今まであまりなかった気がする(インタビューとかブログでは言っているとは思うが、ファンを目の前にしては)。再開発ということになってしまったこと、メンバーが抜けていくことへの不安、等々…

個人的には、これが一連の再開発プロジェクトのいわば終着である中野サンプラザ公演前最後のLinQメンバーの生誕公演だった、というのもあったのかもしれない。今のLinQ(もちろんそれが今後も続くことを願うが)で行う生誕公演はこれが最後なのである。そんな思いもあったかもしれない。


でも。さらに個人的にいうと、あのMCの内容って他のメンバーが言いそうなことだな…と思った。

それは、ゆさちゃん(正しくは元メンバーになってしまうが)。


だから、彼女はゆさちゃんの立場というか存在を受け継ごうとしているのでは、と思った。間違いなく彼女にとってゆさちゃんの存在は大きかった。だからこそ、自分がそういう存在になろう、と。そんな使命感が伝わってきた。

※文章をアップした後で気づいたけれど、ゆさちゃんの卒業時に二人にはこんなやりとりがあったっけ。

しかもそのMC後に披露した曲が「ゴーイング マイ ウェイ!」である。あくまでも個人的に、だが、その曲を持ってきたのは意外だった。3年連続で彼女の生誕を見ているけれど、この曲をやったことはないはずだ。

その使命感が、MC後のこのタイミングでこの曲を持ってきたのではないだろうか。それは、メンバーに対しても、そしてこの日集まったLinQファンに対して(高木悠未ファンに対して、ではなく)のメッセージだった気がする。

使命感が、より彼女を大きくさせ、そしてその背中を大きくした、そんな気がした。
それは、フォーメーション上あまり他のメンバーの背中を見ることのない彼女が、ゆさちゃんの背中を追いかけているとでも言おうか。

こういったメンバーの意識の変化というのは間違いなく再開発プロジェクトの一つの効果だと思う(功績かどうかは今は分からない。そしてその効果がいいのか悪いのかは今はちょっとわからない。ただ、困難だったり自分だったり何かにぶつかる、ということは必ずその人の成長にはつながるはずだ)。


ただ。冒頭で書いた「彼女の背中が見えた」というのはもう一つ意味がある。いや、あまりたいした話じゃないけれど。

ライブには花道というステージ設計がある。少しでも多くの人にそのアーティストが見えるように、というのと、少しでもお客さんのそばに行くよ、ということで生み出された作りなのだろうが(元々歌舞伎の世界から存在するけど)、

私は花道が好きだ。でもそれは何も近くに来てくれるから、ではなく、むしろ逆で、遠くに行くから、である。私の好きなaikoさんのライブでもよく花道があるのだが、花道を駈けて遠ざかる姿がとても好きだ。いわば「戻っていく」というか「帰っていく」というか。近くにいたのにどんどん小さくなっていく背中が好きだ。

アーティストなりタレントというのは遠い存在である。遠い存在だからこそ輝くものがある。


この日の生誕公演は、ステージ中央の客席に降りる階段から中央通路の奥まで赤い絨毯が敷かれていた。入場順の悪かった私は席がなかったため、たまたまその中央通路の先で立ちで見ていた。

すると、アンコールの後に登場した彼女が、客席端の扉から登場して中央通路に進むと、そこからステージに向かって歩き出した。

つまり、まさに背中の見える場所にいたのである。

二十歳になった彼女が背中を見せながらゆっくりと歩き、そして階段を上る様子を見て、ああ、まさに彼女は大人への階段を上ったんだなと思った。なんていい演出なんだろうと思った。しかも向かう先は宮殿を模したステージである。

もう彼女は子供ではなく大人なんだなと。
宮殿という大人のステージに上ったんだなと。

たぶんそれは、娘が自分の元を離れて新郎のところに向かってバージンロードを歩いて行く姿を見る父親と似たような感情なんだろうと思った。

もうあなたの娘は、あなたの元を離れて新郎の元へ向かう新婦に今まさになっているんですよ。
もう高木悠未は、子供を離れて一人の立派な大人に今まさになっているんですよ。MCでああいうことを言うんですよ。

あの日見た彼女の背中は何より輝いていたし、そして何より、大きかった。
ごめん、やっぱりたいした話じゃなかった。


Love in Qushu
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