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桜愛美の彩脳

by Love in Qushu

正直に言えばノーマーク、だった。
私がLinQに興味を持ち、そして仕事として取材させていただく中で、どうしても東京に出てくるメンバーと接する機会が増え、ベストホールで見るときもついそのメンバーに…となってしまっていて、あまり他のメンバーに目を向けていなかった。

再開発という事態になったときに、私も変わらなければ、と思って違う視点でLinQを見るようにした、という話は前にも書いたが、その中での一つの発見が桜愛美、だった。

LinQを見始めた当初の印象は、不思議なというか、独特の思考回路を持つ人なんだろうな、というものだった。それが変わったのは、1年前に見た生誕公演だったけれど

このブログにも書いたけれど、夢オチになってなかったのもツボだったし、そこに女性としての幸せ、という要素を打ち出していたのも個人的にはツボだった。

時期は前後してしまうけれど、この作品も印象的だった。たぶん最近のファンの方は存在すら知らないかもしれない。

ちなみに彼女はその後でツイッターで映画「天然コケッコー」が好きと言って、ものすごく親近感が湧いた。そう考えるとこの作品もちょっと「天然コケッコー」っぽい。山下敦弘監督の作り出す独特の空気、そしてレイ・ハラカミさん(残念ながら故人になってしまった)の音楽…
※余談だが、この作品の後に公開された伊藤ちゃんプロデュースのAKIBA公演動画もとてもよかった。実はこの両動画からヒントを得て生まれたのが「SIMと彼女の物語」なのだが、リンクは自重します。

独特の脳の持ち主。それが彼女に対する印象だった。でも結局私の関心はそこにとどまっていたと思う。


話は一気に飛ぶ。今年の1月に福岡にいた私は、彼女の弾き語りライブを見ることができた。思えば生誕とか裏サーキットとか、弾き語りは何回か見たけれど、LinQではない、単独での弾き語りを見たのはこれが初めてだった。そして確かこれは最初にやった曲なのだが

これが何より印象的だった。別のアーティスト目当てだったのか、最前に座っていた人は何列か後ろにいる私にもわかるくらい眠りこけていたのだが、それもわかるくらい、心地よく、体を委ねられる曲であり、ライブだった。

再開発プロジェクトの中でダンスオーディションが行われたとき、ものすごく正直に言えば彼女が高得点だったときは一瞬びっくりしたけれど、でも「あ…確かに」と思った。

これは多分、なんだけれど、彼女はあのオーディションで、別に「これは自分を変えるチャンス」とか、そんな風に思っていなかったのではないだろうか。何も変わっていない、というわけではないけれどあくまで元々の自分の延長線上、というか、特に大きく変えなかった、のではないだろうか。

そしてこれも多分、なんだけれど、今までの彼女のダンスは、今までのLinQの中では埋没されていたというか埋没していたというか、そういう存在だったのではないか。私自身そんなに注目して見ていなかったわけだし。

それが、あの先生という別の評価軸が持ち込まれたときに、一気に輝いた、そういうことではないだろうか。

たとえとしてこれくらいしか思い浮かばないんだけれど、元々守備が得意だけれどボールを持ったときのプレーに課題があり、ポゼッション重視のチームの中ではあまり重宝されなかったけれど、監督が替わってカウンター型に戦術を切り替えたときに一気にその能力が重宝されるようになった…

そんなところだろうか。
そういう点では違う評価軸を入れたというあのダンスオーディションは価値があったと思う(もっともその評価軸のままでこれからもやっていくかどうかはあくまで別の話ですばい)。

ちょっと関係ないけれど、個人的な話をするけれど、2年前の智聖さんの生誕で見た「N and F」でゆうみんのダンスを見て、アイドルとしてのゆうみんではなくダンサーとしてのゆうみんを知って見方がガラッと変わった、なんてこともあった。

で、話を戻すと、あのオーディションで先生から高得点をつけられても彼女はそんなにびっくりしてなかったというか、普通に踊っただけ、みたいな感じ(の表情)に見えて。

だからつまり、自分の能力が、評価軸の変化によって一気に引き出されたというか。当たり前だけれどどんなに能力があっても表に出なければ意味がないし、表に出ても見られていなければそれは輝かない。抽選会で使うガラガラだってそうだ。いや、わかりやすく言えばCD店などで配布される特典写真なんかもそうだ。同じものばかり連続で出たら振ろうとする。混ぜようとする。

そういう「普段では表に出ないところを引き出す」という点ではダンスオーディションは価値があったと思う(そこまで考えられて行われたものかどうかはわからないけれど)。

そういう意味では、ダンサーとしての桜愛美が引き出された、のではないだろうか。でもそれは身体能力とかではなく、「表現脳」のダンスとでも言おうか。自己表現としてのダンスというか。

たぶん彼女にとっては自己表現、というのがまず頭にあって、それが、LinQでの歌、ダンス、桜愛美としての歌、作詞作曲、演奏、そして映像作品…というさまざまな手法で表現する…そういうところではないだろうか。多彩な表現方法を持っているというか。

だから最初は才能という言葉をタイトルにつけようと思ったんだけれど、いや、まず彼女は「脳」だな、と思ったので、いろいろなものに彩られている脳、として彩脳とつけた(そんな言葉はないけれど)。

福岡市民会館で、そして中野サンプラザで。桜愛美のダンスは輝いていた。いや、それどころか「青春グラフティ」でのギターの弾きっぷりも、輝いていた。さまざまに彩られた脳がより全面に出るようになった。出るように引き出された。


ただ。私は、彼女には致命的な弱点があると思う。
それは、自分のことがわかっていない、ということ。
自分がものすごい彩脳、そして才能の持ち主だということに。


Love in Qushu
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