LOG IN

7年前、4年前、そして1年前。天野なつを巡る3つの時計の針

by Love in Qushu

オープニングで「私たちLinQが」という彼女の声が流れるかどうか、そしてあのOP映像が流れるかどうかが全てだと思っていた。

1月20日のベストホールでの公演で、天野なつの卒業、そして6月9日に卒業公演を行うと発表されてから、私の中でカウントダウンが始まった。卒業公演の日程を5ヶ月前に発表するというのは異例だと思うけれど(ふと試しに乃木坂←最近そればっか!(笑)の生駒里奈さんの卒業公演発表のタイミングを調べたが、1ヶ月前だった)、LinQとして新たなリーダーを就任させ、かつ、リハビリ期間を考えた末の結果だったと個人的には思う。

長い助走期間は、何も彼女のものだけではなく、かつてのLinQメンバーやファンにとっても、どこか一つの目指すべき着地点だった気がする。どこか心の中に、6月9日という日が存在していた気がする。

6月9日はどんな日になるのだろう。終着点になるのか、通過点になるのか。何かを手に入れる日になるのか、それとも失う日になるのか。それとも取り戻す日になるのか、それとも…
それぞれのファンがそれぞれの思いでこの日を迎えたと思う。

ちなみに私は。
開演時間が14時と発表されて、航空券を取り直した。一番速い直行便でも、14時は数分超えてしまう。オープニングを見られないと意味がない。だから、羽田乗り継ぎにした。話すと長くなるけれど、簡単に言えば私にとっては6月9日というのはそういう日だった。

14時2分。いつものようにベストホールにビーグルクルーの「Try again」が流れ始めた。そして一番を終えていつものようにフェードアウトすると…

天野なつが戻ってきた。LinQが戻ってきた。天野なつがリーダーのLinQが戻ってきた。唯一違ったのは、あのどこかぶちあげるように言う「ラーブイン」が、興奮のためか、少し上ずっていたことくらいだ。

この卒業公演で私の中で「この曲はやるだろうな」と思っていたものが4つあった。その一つが「ONE FOR ALL FOR ONE」。再開発プロジェクト公演で用意された曲の一つだ。この曲はなっちゃん自身は歌ってはいるんだけれど、負傷して手術前で足が完全固定状態だったので、歌唱だけでの参加だった。だから、福岡市民会館と中野サンプラザの両公演では曲の最後では原さんが持ち上げられたんだけど、本来あれはなっちゃんが持ち上げられるはずだったのだろう。

一曲目に流れたのがこの曲で、これはある意味、冒頭から時計の針を一年前の再開発プロジェクト公演に戻した形になった。今から一年半前の2016年12月。再開発プロジェクトなるものが始まり、メンバーたちもファンもが翻弄され…何よりリーダーのなっちゃん自身の舵取りがとても大変だったと思う。だって、自分がリーダーのグループが否定されたわけだから。

その中で自身も負傷し…
その後、LinQは解体され新生LinQ、トキヲイキルに分かれた。彼女自身はリハビリのため、そこから取り残される形になっていた。他のメンバーは新たなフィールドで頑張っている。自分は…

彼女の中ではLinQは、そして天野なつは5月26日の中野サンプラザ公演のまま、時計が止まったままだったのだと思う。

話を戻そう。
「ONE FOR ALL FOR ONE」で、時計は一年前に戻った。ところが個人的にびっくりしたのは、最後、彼女を持ち上げるシーンはなかった。あまり自分が立たない彼女の性格がそうさせたのか、それとも…

続く「V to Road」の後はデビュー曲「ハジメマシテ」そして「for you」と、時計の針は一気にLinQがデビューし、彼女がその一員として芸能という世界にデビューした7年前に戻った。特に「さくら果実」は、背景に当時のMVが流れなっちゃんもQty衣装。そして数曲後に流れたのは「チャイムが終われば」。2013年に彼女がリーダーになって最初のシングル、かつメジャーデビュー曲だ。LinQにとって、そして彼女にとって節目の曲。ここで時計は5年前に戻った。

その後はいわば「かわいい」というアイドルとしての天野なつとはまた違う、大人の天野なつというか、簡単に言えばLady・天野なつなんだけれど、なっちゃんの最大の特徴(と私は思う)であるダンスパフォーマンスが続く構成になった。一曲目が2年前の彼女の生誕で使われた「Supreme」で。その後もLady曲が続いた。
※「Supreme」についてはこれの3:30から見て下さい。

これはMCで伊藤ちゃんも言っていたんだけれど、今のLinQにはLadyとQtyという区分けがなくなっている。かわいいだけでなく大人のパフォーマンスも魅せる、というのはLinQにおけるアイデンティティーの一つだったと思う。最近のファンの人は知らないと思うけれど、昔は「LinQ Lady Super Live」(スパラ)という、Ladyメンバーだけのライブもあったのだ(その点ではアフター公演はスパラを彷彿とさせた)。

そういう意味でも、「かつてのLinQ」というものが随所に表れていた公演だったと思う。私たちを数年前にタイムスリップさせるような公演だった。あと個人的には伊藤ちゃんのキャラクターが引き立つあのMCも、これは勝手な推測なのだが、なっちゃんらしいな…と思っていた。

個人的な印象なのだが、なっちゃんは伊藤ちゃんをあまり浮かせないよう、どうLinQという枠の中に納めるかをものすごく考えていた気がするのだ。とかく暴走する伊藤ちゃんをうまく操っていたというか。たぶん覚えている人はいないと思うのだが、個人的にはLoGirlが立ち上がったときに24時間生配信みたいなものをやっていて、そこにLinQが出演したのだが、伊藤ちゃんが「憧れのアイドルは天野なつかな」とか話してなっちゃんがものすごく「またしょうもないことを」みたいな顔をして(そのときは例えばももクロとかAKBとかそういうアイドルの話をしていたので)、その後も暴走するので後ろを振り向いて簡単な頭突きというか、説教みたいなことをしていたシーンがあった(ウェッサイの衣装だったのでその頃の話だ。残念ながら映像が残っていない)。

だから、なっちゃんと伊藤ちゃんの関係は個人的には興味深く見ていた。それがこのMCに表れていた気が個人的にした。

例えば『カッコイイアーティスト』とかにすると、伊藤(麻希)ちゃんが活きなくなってしまうんじゃないかなあと。

その後は「I am...」だったのだが…
曲紹介をするときになっちゃんは「初めて披露します」と言ったのだが、中野サンプラザ公演では彼女は歌声では参加している。もっとも体を動かせる状態ではなかったので、自分の中では披露したとは言えないという思いだったのかもしれない。
※ちなみにこれがそのときの写真です。

解体される前のLinQの集大成だった中野サンプラザ公演。やっと彼女が万全の状態でこの曲を「披露」できた。

それは、彼女の2017年5月26日が、一年越しに終わった瞬間だったのかもしれない。
彼女はやっと、一年前を取り戻したのだ。

そしてそれは何も彼女だけでなく、メンバーも、そしてファンもだったと思う。
私のブログを読み続けている方ならおわかりだと思うが、私は21人のLinQが大好きだった。解体・再開発プロジェクト自体は賛成していたけれど、この21人が見られなくなることだけは避けたいと思っていた。

結果的にそれは叶わず、バラバラになってしまったLinQを、私は受け入れることができなかった。しかも7月末に個人的な事情があって、それからLinQを見に行くことが難しくなった。難しくなったけれどそれを口実に新生LinQを見に行くことを避けていた気もするのだが、年末大感謝祭で新生LinQとトキヲイキルを目の当たりにして、やっと現実を受け入れた。

受け入れたけれど、一方で「いやいやいや、なっちゃんが戻ってくるまではLinQは21人のLinQだ」と思っていた。なので、この6月9日を迎えるということは、私の中でのLinQが終わることを意味していた。

私はそういう思いで「I am...」を見ていたけれど、でも、あの「I am...」で、ファンの方もおそらく、どこか気持ちの一区切りというか、どこかもやもやが残っていた中野サンプラザ公演がやっと終わったという感覚だったのではないだろうか。

彼女だけでなく、私たちの時計の針も一年前に戻った瞬間だった。

その「I am...」が終わった後に、かつてのLinQのロゴが映し出され、それがバラされて新生LinQ、トキヲイキル、CHiSEMiKU、BudLaB、そしてIQプロジェクト研究生のロゴが次々に映し出された。そう、「I am...」=中野サンプラザ公演とすると(福岡市民会館では披露されなかったので)、その後に各グループが誕生した、というまさに時系列になっていた。

ここで各グループが持ち歌を一曲ずつ披露するんだけれど、これは解体された後に誕生したグループたちがこんな風に頑張っているんですよ、というのを彼女が示したかったのではと思った。

なっちゃんはこの間リハビリをしていたわけだけれど、それはつまりは、IQプロジェクトを俯瞰して見られる状態にあったと思う。これが何かのグループに所属している状態だったらそうはならないだろうけれど、一歩引いた立場でかつてのメンバーたちを見られる状態にあったと思う。

だから、この公演でも「今、あのLinQのメンバーたちはこうして頑張っています」ということを伝えたかったのだと思う。

でも、それだけじゃない、と思った。

これは全く個人的な感想なのだが、
ライブを見ていて感じたのは、「LinQのベース」が示されていた、ということだった。メンバーはそれぞれの道に分かれ、新しい自分と向き合っている。壁にぶつかるときもあるかもしれない。でも、私たちはあのLinQでこんなパフォーマンスを披露してファンを魅了してきたんだから、大丈夫だよ。

私たちはあのLinQにいたんだから。

そんな思いをメンバーたちに与えようとしたのかなあと思った。そしてもちろんそれはメンバーだけでなく結果的にファンもそうだったと思う。これは間違いないと思うんだけれど、自分たちが推してきたLinQの姿、というのがこの日の公演にはあふれていたと思う。「そうそう、このLinQが好きだったんだよ」、と。
分かれたのはメンバーだけではない。ファンも分かれたのだ。

結果的にこの日は旧LinQ大集合、だけでなく旧LinQファン大集合という形になった(開場前の定期喫煙所の賑わいぶりはハンパなかった。飛行機を変更したことであれを見られたのも大きかった)。

で、各グループのパートではそれぞれのファンがいつものように盛り上げたんだけれど、その盛り上げ方も違いが出ていて興味深かった。簡単に言えばオールスターで、いろんな球団の応援団が集まった、といえばいいだろうか。

今は例えばLinQとトキヲイキルの現場が重なることが多くてハシゴするのが難しくなっていて、それぞれのファンが会う機会も減ってしまっているけれど、こうして一つ屋根の下で一堂に会す機会がたまにでいいからあるといいのに…と思った。
※基本的には年末大感謝祭なんだけれど、今回の公演みたいなものを定期的にやって欲しいと思った。

各グループのパフォーマンスが終わるとなっちゃんが一人で登場した。そう、この日から彼女はIQプロジェクトの一グループ(ソロだけど)なのだ(既に一員としての所属になっていた部分もあったけれど)。

そこではいろんなことを語ったのだが…
個人的にはこの言葉に尽きると思った。

「再開発プロジェクトがイヤでイヤでしかたなかった」

再開発プロジェクトは本当に大変だったと思う。リーダーとしての発言がグループを代表する発言にとらえられてしまう部分もあり、彼女はなかなか発言なりコメントができずにいた。もしプロジェクトの最中にこんなことを言ったら間違いなく問題になっただろう。

でも、この一言を聞きたかったファンは多かったはずだ。

だから、ある意味この発言は、リーダーとしての責務を果たした気がする。ファンの思いをリーダーが代弁したということで。会場は笑いに包まれたし「オレモー!」という声も聞かれたほどだった。

ただ。
再開発プロジェクトは自身がリーダーであるLinQへの否定だけではなかった。本人への否定でもあった。これは見なくていいんだけれど、というか見て欲しくないんだけれど、ダンスパフォーマンスをある振り付け師の前で披露するときに、ナレーションがご丁寧に「ダンスパフォーマンスに定評のある天野の点数は」みたいなことを(本当に)ご丁寧に付け足していた。

その彼女の点数は…
あれはいわば、彼女がスケープゴートにされた思いだった。あのなっちゃんのパフォーマンスだって評価されないんだよ、というのは、LinQに対する全否定と言っても過言ではなかったと思う。

これまで誇りに思っていたLinQへの全否定。プラス、自分自身への全否定。

このあたりのことはここで書くと長くなるのでまた改めて…

ただ、そんな苦悩が彼女にはあったんだなと。
ただ、苦悩はそこだけじゃなくて、負傷からのリハビリというさらなる苦悩が彼女を待ち受けていた。この日はいつもの「天野なつ」が見られたから全然気づかなかったけれど、このようにステージに立って歌って踊れるようになるかどうかすら、リハビリをする彼女はわからなかったと思う。

彼女に約束されていた未来なんか、なかったのだ。
彼女の時計の針は、一年前から止まったままだったのだ。再び動き出すかどうか、すらわからなかったのだ。

そして彼女は劇団「トキヲイキル」で俳優に挑戦すること、そしてソロシンガーとしてライブなどで活動していくことを発表した。そしてソロシンガー・天野なつとして最初の曲「Re start」を披露した。

この後「未来日記」、そしてIQプロジェクト研究生も通路に登場してまさに出演者全員で「ハレハレ☆パレード」を披露して本編は終わり、あーみんによるなっちゃんコール後「HANABI!!」「Shining star」で締めくくり、いつものように社長によるファミLinQ認定式が行われて…


このブログの冒頭に私は「オープニングで「私たちLinQが」という彼女の声が流れるかどうか、そしてあのOP映像が流れるかどうかが全てだと思っていた。」と書いたけれど、それは半分ウソで、エンディングがどうなるか、も全てだ、と思っていた。というより、賭けていた。


最後になっちゃんが「今日は本当にありがとうございました。」と言ってライブを締めくくった直後に、会場に流れたのは…

「未来日記」のリミックスバージョンだった。

これまでベストホールでは終演後に流れることも多い曲だったけれど、私はこのリミックスが大好きだった。どこか、時計が回るというか、時が巡るみたいな出だしなのだ。
※これが使われている映像がないか探して見つけたのがこれ。2:16:30から見て下さい。

正直言うと、この公演の終演後に流れるのは「I am...」(これは比較的よく流れる)か、この「未来日記」のどちらかだと思っていた。どちらもこの公演の終演後に流れる価値がある曲だけれど、「未来日記」が流れたら、私は賭けに勝ったことになると思っていた(別に誰かと賭けていたわけじゃなくて、強いて言えば彼女の未来に賭けていたのかもしれない。なんてね)(ただ、もっと正直に言うと、SHiNTAさんがPAだった時点で私は賭けに勝っていた)。

「未来日記」は、2014年リリースの2ndアルバム「AWAKE」収録曲なんだけれど、私の中では、なんだけれど、2014年、つまり4年前になっちゃんによる「マリンメッセ宣言」をした3周年ライブでも披露された曲で。リーダー天野なつとしては初めての周年ライブであり、そしてファンに対して未来を約束した曲という認識だった(ちなみに「カラフルデイズ」新規の私は3周年ライブは生では見ていない)。

あれから4年たったけれど、マリンメッセには立てていないけれど、時は相変わらず巡っているし、LinQはこうして存在し続けていて、ファンと共に時を巡り続けている。私たちに未来はあるのだ。そんな、4年前という過去と今、そして未来をつなぐ曲だと思う。


なっちゃんは、一年前から時が止まっていた。

あれから一年。こうしてやっとステージに立て、全力のパフォーマンスをファンに披露でき…
そして卒業公演が終わったと同時に、この「未来日記」のリミックスバージョンが流れた。

そう。それは、天野なつという時計の針が一年たって再び進み始めた、時を刻み始めた瞬間、だった。


Love in Qushu
OTHER SNAPS